時計とコーヒーポット

If you watch a kettle, it never boils.

2015/4/19



描けました。
懐中時計とやかんです。
今回は、鉱物的なものではないです。
先生はあえて、鉱物ではないものを勧めてくれました。



1回目。



貝など生きていたものはそのものの命の流れを想像するけど、
自然の中を生きてきたものではないものは、
何を想像しよう??
とりあえず、
形をとろう。
枠をとっていこう。

個人的には ”枠” をつくるのは好きではないけれど、
必要なときには必要なんだ。
そうじゃないと、基本の大きさとかバランスをみるのには
ある程度の ”型” カタ は必要なのね。。
なぜ、この構図になったのかというと、
それこそ、とりあえず置いてあったその椅子に座って、
そのまま見えた場所で描くことにしたのです。

横から見たらこのやかんは美しいんじゃないかとか、
この斜めの角度からなら、時計とこのやかんのここの位置が
いいとか。

最初は、そういう発想が全く浮かばなかったから、
そのまま時計とやかんが重なっている正面から見ることになりました。

このやかんの注ぎ口が細くて長いのは初めて見たし、
時計は古いし。
いったいどんな意味の組み合わせなの?




2015/3/15
1回目


何を魅力的に表したいのか
自分で何をポイントにしたいのか?
1回目は、とにかく形をとるのに必死でした。
なんども、消したり、描いたり、消したり、描いたり。

帰り道。
デッサン塾の通り沿いにある金物屋さんに寄ってみました。
まったく同じやかんがありました。
どうやら、コーヒーを飲むため専用の
やかんみたいです。
それでわざわざ、細くてカーブを描いている注ぎ口なんだね。





2回目。


2015/3/22 13:51 in Chigasaki

デッサン塾に向かう電車の中で調べました。
ステンレス。
ステンレスは何者?

原料は、鉄・ニッケル・クロムなどを海外から輸入していて、
鉄にニッケルをある程度混ぜると、錆に強くなって、、
加工がしやすくて、
口に入れても安全で、、(スプーンとか)

そっか、あのコーヒーポットもあの形になる製品になるまで、
いろんな人の思いがあったんだ~。






元は自然界の資源から、
生活を快適にしようとステンレスが開発されて、
コーヒー好きな人が
コーヒー豆を粉にした、そこにお湯をそそぐ時間。。
そう、そのゆっくりとお湯を注ぐには、あのカーブが
お湯を注ぐ人にもわくわくした時間を与える役目があるのかも。
いい香りがしてきて、
そして、ゆっくりとした時間を過ごす。。

なんだ、時計の止まった時間とやかん。
なかなかいい関係じゃないの?



そんな風に前向きになれて描けた2回目。
気づいたら、鼻水と高熱でほとんど進まなかった2回目。
今回のメインは、手前のやかん。




2015/3/22
2回目



3回目。



やかんばかりに気を配っていて、
時計はそっちのけ。

でも、全体のバランスを考えると、
今のうちに時計の部分にも
少しは色を置いたほうがいいというアドバイス。
先生は、やかんの向こうに時計のその形の色紙を置いておくような感じと
そんなような表現をして下さいました。
そっか、枠の線だけじゃなくて、
その物の存在を置いておこう。
そうとわかったら、ガーッと塗れました。

けれども、やかんの反射ばかりを気にしすぎました。
蛍光灯が写っているから、この2本ずつが写って、、



2015/4/5
3回目



「反射がちょっと強いかな。というより、形を示すものが弱いかな。」
「反射とは別の陰が見つけられるのでは?」

「現実のものに近いものにするためには、
最終的には、全体のバランスに合わせる。」



「部分と全体のバランスを調節する。
どういう風にそういう事にしていったらよいかということを
探っていってください。」




4回目。

2015/4/12 12:22 in Chigasaki
前回は、やかんに映っているものばかりを描いていたからね。

今回は、やかんの形をもう一度見直しました。

やかんの”とって” の部分の丸みと持ちやすさのデザイン性も

意識して、真っ黒にしていきました。

そして、やかんの陰影も意識して。

そうしたら、やかんがはっきりしてきました。

2015/4/12
4回目

「もう、これで終わり?」


時計が置き去りに。。
どーしようかな。。




「木のところがもっと描かれていれば、全体の雰囲気が変わると思うので、
もし、根性が続きそうだったら、、もう一回描くといいかな。」

「時計の枠のフェルトの部分のボソボソなのをわからせるためにも、
木の部分を描かないと
時計の枠がボソボソに見えちゃう。」

そう、時計にはほとんど意識を向けていませんでした。。

あと一回は時計に集中!




5回目。


できた。

描き終わらせたという感じ。

1回目と今回では、時計の位置が微妙にずれてしまったけれど、

まっ、いっか。

だから、時計の木箱の線が水平なはずが、少し斜めのまま。



先生はおっしゃっていました。

水平を保つのが一番むずがしいと。



でも、どうしても私には水平よりも少しずれて見えたから、

微妙なまま。



「じゃ、許そう。」

「古時計っぽさが。」

「絵としては、面白いのかな?」


「緩急がうまくできている、というんですかね。」

「私のお気に入りは、やかんの質感ですかね。
それと時計のさりげない弱め方みたいなところがいいかな。」

「うまくまとまってて、味わいのあるデッサンだと思います。」



この時計とやかんの構図は、

本当は紙の真ん中ではないので、一般的ではないみたい。



私がこの構図で位置的なもので関連づけしたのは、
やかんの頭の黒い丸と蓋の丸。
懐中時計のリングの丸と時計の丸。

大小の丸の対比を
向こう側とこちら側で重ねて見てみたよ。



でも、
先生から ”お気に入り” という言葉で感想を頂けて、嬉しいです。




お湯を沸かして、
ゆっくりとお気に入りのお茶を用意する。

テーブルに置いたり、
お盆に載せたり、
お菓子も一緒に並べたり。

そういう時間を大切にしたい。


2015/4/19
完成。


それと、時計(ウォッチ)とやかん(ケトル)を調べていたら、

コックニー訛りの言葉と関係があって、びっくりです

英語では、やかん(ケトル)は、ケトルとだけでは言わず、

ケトルを冷めないように載せておく台(ホブ)と一緒だった。

kettle and hob (ケトル アンド ホブ) 

そして、懐中時計は、
a fob watch (フォブ ウォッチ)

ケトル アンド  ”ホブ”
”フォブ”  ウォッチ

ケトル アンド フォブ
ケトル アンド ホブ

hob と fob?
ケトル アンド ウォッチ?

いつしか、

時計(ウォッチ)のことをやかん(ケトル)の意味で使われた??



デッサン塾の懐中時計は、旧国鉄時代に使われていた、
それと同じものだそうです。

面白いですね。
デッサン一つで、そこにあったものの意味が広がっていく。

さっ、これからお茶でも飲みましょう(笑)