3泊4日、5時の鐘

~Chigasaki Story~
2016/6/26 イオンシネマ茅ヶ崎

日本人監督の、
日本人俳優の、
日本が舞台の、
茅ヶ崎が舞台の、
茅ヶ崎館が舞台の
映画を
茅ヶ崎の映画館で観ました。


私は、茅ヶ崎に9歳から住んでいます。

ところが、
その、
茅ヶ崎館は名前だけは耳にしたことがありましたが、
実は、今住んでいるアパートから
なんと!
徒歩約10分のところにあるではありませんか!

2016/6/26 16:44 イオンシネマ茅ヶ崎


なぜ、こちらの
「3泊4日、5時の鐘」
という映画を
映画館で観てみようと思ったきっかけは、
いくつかあります。

その理由の一つは、
私の最近の関心ごと。

それは、この6月初めごろ、平日に会社を休んだ日。
なんだか気分がすぐれず、
ほのぼのした映画がみたくなって、
いつも利用している、”hulu”で 日本映画の一覧をながめました。

その昔シリーズの中に、
「お早よう」
というタイトルがとても気になります。

スタートボタンを押して、観はじめました。
1959年 昭和34年公開のカラー映画です。

とても、とても新鮮です。
なにより、言葉が新鮮です。
今の平成ではまったく耳にしないような
やりとり。

鍵のかけない玄関の引き戸ドア。
ガラガラーッと
いつでも誰かが開けたり閉めたり。

母がそういえば以前に話していた、
おばあちゃんが
若いころに玄関先で
ご近所さんの噂話をよくしていたという
光景はこういった
引き戸ドアと昔の玄関の作り。

火鉢をちゃぶ台の横で普通に使っている。

着物も普段着として着用していて、
洋服も着ている。

わたしには何もかもが新鮮に見えました。
畳、障子、火鉢の上に鉄瓶。

父と母はこうした時代を過ごしてきたんだなぁとか、
祖父母はこうして日常を過ごしてたんだなぁとか。

昭和初期はただの白黒でしかなかった
イメージから、カラーで見たことによって、
より鮮明にイメージができて、とても観てよかった映画。
ちょっと、クスッとなるようなやりとりとか、
とてもほのぼの、おおらかな気持ちになれました。

普段、私は観た映画の監督よりも
出演している俳優に興味があるのですが、
今回ばかりは違いました。
監督がとても気になります。

「小津安二郎」?
おづ監督ねぇ~。

初めて知りました。
”おづ監督”と私は覚えました。

それからというもの
時間が許す限り、夜ごはんを食べながら、
小津監督や日本の古い映画を選び、観ました。

「秋刀魚の味」 小津監督 1962年 昭和37年 カラー
「お茶漬けの味」 小津監督 1952年 昭和27年 白黒
「彼岸花」小津監督 1958年 昭和33年 カラー
「家族」 山田洋次監督 1970年 昭和45年 カラー

と、「お早よう」から「家族」まで
私はすっかり、日本の昔にうっとりです。
つい最近なんだけど、
昭和の戦後のいろんな美しさに
惹かれてしまいました。

そこで、次にこの映画
「3泊4日、5時の鐘」
を知るきっかけになったのは、
なんとフェイスブックです。

友達になっている人の、
その写真からそのまた友達をたまたま眺めていたら、
!?

なになに?

”茅ヶ崎館を舞台にした映画を関内でみたけど、
やっぱり、
茅ヶ崎で観た~い”

とあります。
??

なんでも、
世界で数々の評価を受けている作品。

シンガポール、マラケッシュ、ロッテルダム、
大阪、ヘルシンキ、北京、シロス、台北。
そして、ニッポンコネクション。
ニッポンビジョン部門。

で、何の話?
と調べてみたら、
茅ヶ崎館が舞台。

で、茅ヶ崎館のホームページをさがしたら、
なーんと、小津監督がごひいきにしていた
旅館ですってー!

で、その茅ヶ崎館って、いったいどこ?
グーグルマップでみたら、えぇ~!?
知らなかった~。
アパートから目と鼻の先にあるじゃない。

で、その茅ヶ崎館が舞台の映画は
どこで上映しているの?
昔、ワーナーマイカルだった、あそこねぇ。

で、いつまで?
7月1日(金)。

これは、映画館へ行ってみようかな。
自分であとで、後悔しそう。

この土日を逃したら、観れないな。
今日にする?明日にする?

土曜日の午後に映画の存在に気がついて、
14:20~と夜の部があるけど、
今日はすこし頭が痛いから、
明日、予約しよう。

そう思って、
土曜の夜は、
「東京物語」 1953年 昭和28年 白黒
を観ました。

小津監督の名前を知ってから、
気になっていた作品です。
観てよかった~。


そして、日曜日の午前中。
ネット予約で一番後ろの、ど真ん中の席を。




映画館に到着。

私を驚かせてくれたのが、
「3泊4日、5時の鐘」の監督が、登場!?
それも、ちょうど予約した時間。

ラッキーです。
昨日じゃなくて、今日のこの回でよかったんだぁ~
わーい♡

きっとこの作品の監督も小津監督の影響を受けているんだろうな~。
だから、とても楽しく映画を観ることができました。

そして、こちら茅ケ崎館舞台の映画
「3泊4日、5時の鐘」には
小津監督と茅ヶ崎館にまつわるお話や
火鉢も映像に出てきました。
まるで、昔の小津監督映画と同じような風景のカットが
感じられました。

見たことある風景、
あぁ、あそこ。
おぉ、あそこの道を歩いてる~
あっ、あのお店。

そして、映画が終わって、
舞台で三澤拓哉監督と俳優の中崎敏(なかざきはや)さんの
トークショーです。

とても楽しかったです。

波の動き、
水の動き、
円の動き、
そういった、
些細な細かな動き、動作、
そういうカットを関連付けて、つなげていったとか。

会場からの質問コーナーで、
火鉢のいくつかのシーンの意図を聞いた人がいました。
あれは、監督の遊び心で作ったカットで、観た人が
気づくといいなぁと思ったそうです。

私が思ったのは、これは、やっぱり映画を実際に観て、
他にも小物の登場の仕方がいろいろあるので、
観た人の感じ方も様々だと思い、その質問された方も
面白い質問をしたなぁ、と感心してしまって、
私には、何を質問したらいいのかわかりませんでした。


さらに三澤拓哉監督がおっしゃっていたのは、
映画の主体を人間だけに焦点を当てるのでなく、
人が物だけを見るだけの世界ではなく、
”物”だって、人を見ている。
”物”にも目があったとしたら、私たち人を見ていると考えたら。

というように、とても興味深い
私も大好きな考え方だなぁと聞いていました。

私はセサミストリートが頭をよぎりました。
私はセサミストリートの番組が大好きです。
あの番組に出てくる”物”はすべて、目と鼻と口があって、
人とコミュニケーションをしています。

あと、他の方からの質問の返答に三澤拓哉監督は、
あるシーンのやり取りは
小津監督の「晩春」の中にあるシーンをヒントに
したとおっしゃっていました。

楽しいやりとりの監督と俳優さんですが、
会場には、茅ヶ崎館の館長さんもいらっしゃってマイクで
お話しされていました。

映画のストーリーは、すべて監督が作った、フィクションです!と。
会場は、笑いの渦です。

2016/6/26 16:37 イオンシネマ茅ヶ崎
俳優の中崎敏さん


トークショーのあとは、
ロビーで、三澤拓哉監督と中崎敏さんがサイン会です。

私は、海だけのイメージの茅ヶ崎に
山側にもすばらしい遺跡があることを
映画で紹介して下さって嬉しいと
お伝えました。

「私は、北陵出身なので。
ぜひ、この映画を口コミで広めてくださいね。」

お二人と写真も撮ることができました♡

ありがとうございました。
握手。握手。

この「3泊4日、5時の鐘」が観れて、
とても私はいい時間を過ごせたなぁと思います。


そして、私は夜ごはんを食べながら、
早速、「晩春」を観てみました。

美しいです。
言葉もしぐさも。
この映画にも ”茅ヶ崎” がちょこっと登場。





茅ヶ崎館のすばらしい庭園を実際にながめるチャンスが
あるといいな~。

茅ヶ崎に住んでいる人、
小津監督が好きな人、
観るチャンスがあったら、ぜひです。

私は、とても気に入った作品です。

本当に、すばらしい時間を
ありがとうございました。